唐突ですが、指回し体操ってご存知でしょうか?
ご高齢の方にボケ防止体操としても有名なようです。
脳の活性化に効果のありそうな指の体操で、簡単にいえば、指先を動かすことで血流と脳を刺激して、頭の回転を早くしたり記憶力を向上を図る、ってものです。
具体的な指回し体操のやり方は Google動画検索「指回し体操」 なんかで確認ください。
科学的な根拠はさっぱりわからないのですが、効果があると思って取り組めば、少なくともプラシーボの効果はありますので積極的に取り組みました。
私が勉強を始めたのが44歳で、一般的には記憶力が衰えているらしいので少しでもカバーしたいと、そんな思いでネットを検索していて見つけたんです。
お金も掛からないし、動画を見ながらや、仕事中の少し手が空いたときの気分転換なんかで、簡単に練習できるので低コスト。
試験本番でも問題用紙の配布から始め!の合図まで5分くらいありますので、試験前のルーティンにすればメンタル的な効果も狙えそう。
こんなことで1点でも増えるのなら、やらない理由はないじゃないか。
いやまて、こんなにお得なことは、もう皆さん取り入れていて、私だけがやっていないんじゃないか。
私はすでに出遅れているんじゃないか。
指回しの存在を知ったとき、そんな焦りも感じました。
フリーラーニングで経済学を視聴していた頃ですので、1月頃でしょうか。
その日から、早朝の指回しも日課になりました。
そして8月、妻も驚愕するほどの華麗な指回しを身につけ、いざ1次試験。
問題用紙が配られ、私は自信満々で指回しを始めました。
表情はニッコリ。リラックス効果を狙っての満面の笑顔です。
一年に一度の国家試験の会場で、ムチムチの中年おじさんが指をモジモジ動かしながらニッタリ笑っているんです。
今考えると、周りの方々には申し訳ない光景でありました。
しかし私は真剣でした。
さあどうだ、私の指回しは。
ライバルたちに見せつけるべく、これまでの成果を披露します。
集中力が増し、どんどん回転が速くなります。
そうして指を回しながら、ライバルたちの指裁きも確認すべく、私は会場を見渡しました。
そしたら、誰もやっていないのです。
あんまりキョロキョロも出来ないので、あくまで軽く見渡せる範囲ですが、誰もモジモジしていない。
私は、動揺し、混乱しました。
こんなメリットしかない行為を、どうして誰もやらないんだろう。
知らないのか?恥ずかしいのか?まさか、効果がないのだろうか?
色々な思いが、私の頭を駆け巡りました。
しかしすぐに、むしろこれはチャンスだと、指回しの分だけ私の得点が高いはずだと、落ち着け、とにかく笑えと、半ば無理やり自分を落ち着かせてその試験に臨みました。
その後の科目も全て、笑顔の指回し体操で乗り切りました。
すでに自分のルーティンになっていて、やらないと調子が崩れちゃうので、やらない訳にはいかなかったです。
指回しの効果かは定かではないですが、結果、私は1次試験を無事に通過しました。
しかし、1次試験のあと、私は2次試験で指回しをするのか迷っていました。
正直必死そうに見えて恥ずかしいし、しかも効果あるのか分かんないし。
でもそのとき、神の啓示のように脳裏に浮かんだ言葉がありました。
「なぜベストを尽くさないのか」
日本の誇る歴史的天才、上田次郎教授の言葉でした。
2次試験の当日、会場の近畿大学で、モジモジ指を動かしながらニッタリ笑っていたムチムチの中年おじさんは、この私です。
私の2次試験合格は、上田教授にもらった勇気のおかげかもしれません。
あと、どうでもいい情報になりますが、上田教授は常にベストを尽くすため、常にベストを着用されていたそうですよ。